Oracle Database SE RAC 導入の背景

　JFEスチールグループの薄板建材事業の中核会社であるJFE鋼板は、千葉市の東日本製造所と倉敷市の倉敷製造所をベースに、高度な技術と最適なプロセスで高品質な鋼板商品（めっき鋼板、カラー鋼板など）を展開しています。製造所には連続溶融亜鉛めっき設備や連続カラー塗装設備、リコイリング設備などを有しております。製造ラインは24時間365日稼働を基本とし、システム部が維持・管理する生産管理システムで業務運用されています。システム故障による製造ラインの停止は事業へ直接的に影響を及ぼすため、システム部にとって生産管理システムの安定稼働が重要なミッションの１つであり、計画停止日以外は「システムを絶対に止めない運用」が求められていました。この生産管理システムは、従来はホストコンピュータで稼働していましたが、2020年にOracle Database を使用してオープン化を完了させておりました。しかし可用性やディザスタリカバリ（DR）の仕組みが不十分であるという課題が残っていました。

STSの対応

　STSは、同システムの構成とバックアップ体制からコストや移行プランを検討し、サーバーOSやデータベースの課題解決の最適解として、Oracle Database SE RACを提案・導入し、千葉と倉敷の製造所間での相互バックアップと即時復旧の仕組みを構築しました。プロジェクトで最も苦労したことは「止められない」システムのデータ移行を、いかに業務影響を与えることなく実施するかでしたが、計画通りに進めるために課題の洗い出しと仮説検証の徹底、綿密なリハーサルを行ったことでトラブルなく移行を完了することができました。

導入による効果

　これまでは本番機がシングル体制だったため、万一のサーバー故障時には8時間ほどのダウンタイムが予想されていましたが、今回 Oracle Database SE RAC を導入したことでダウンタイムを数秒に抑えることが可能となりました。また、千葉と倉敷両所を相互に且つセキュアにデータをバックアップするDRの仕組みを導入したことで、万一どちらかの工場が被災しシステムが停止しても、バックアップデータから早期に復旧できる体制を構築することができました。

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